1. 生活排水とは何か生活排水とは、私たちの日常生活で使った水のことで、主に台所・トイレ・風呂・洗濯などから出る排水を指します 。特に、トイレのし尿を除いた生活雑排水(台所・風呂・洗濯などからの排水)が生活排水中の大半を占めます。実際、1人が1日に出す生活排水のうち約67%が生活雑排水による汚れであり*1、なかでも台所からの汚れが最も多くを占めています 。こうした生活排水は、かつては工場排水に次ぐ存在でしたが、現在では河川や海の水質汚染の最大の原因となっています *1。そのため各家庭で生活排水の扱いに注意することが、環境保全上とても重要です。*1 愛知県庁ホームページ > くらし・安全・環境 > 環境 > あいちの環境 > 「生活排水とは(愛知県の川や海のよごれ)」2. 浄化槽使用者が日常生活で気をつけること浄化槽(いわゆる家庭用の小型下水処理槽)は、微生物の力で汚水を浄化する装置です。そのため使い方を誤ったり不適切なものを流したりすると、浄化槽内の微生物が働けなくなったり死滅してしまい、汚水を十分処理できずに汚れた水や悪臭を放出する恐れがあります。↑ 浄化槽の内部構造。泡は微生物の呼吸のためで、水の中に微生物の住処を意図的に形成します。浄化槽を正しく機能させるため、以下の点に注意して日常の排水を管理しましょう。• 台所: 鍋や皿についた油汚れは布や紙で拭き取ってから洗い、揚げ物など大量の廃油は排水口に流さないようにします。また、シンクの排水口にはネットをかぶせて野菜くずなど生ごみを流さないようにし、排水管の詰まりや汚濁を防ぎます。• 洗濯: 洗剤は環境に配慮した無リン・中性タイプを選び、適量を計量して使用しますす。洗剤を入れすぎても汚れ落ちが良くなるわけではなく、かえって水を汚す原因になるだけです 。家庭用の漂白剤は適量であれば問題ありませんが、塩素系漂白剤は可能なら避けた方が良いでしょう。• トイレ: トイレットペーパー以外の異物は流さないでください。【新聞紙・紙おむつ・生理用品・タバコの吸い殻】などは水に溶けず詰まりの原因になるため厳禁です 。トイレ清掃の際も、塩酸など劇薬系の洗浄剤は使わないようにしましょう(市販の一般的なトイレ用洗剤は使用可) 。強い洗浄剤を大量に流すと浄化槽内の微生物が弱ったり機能低下を招く恐れがあるため、便器の頑固な汚れは可能ならぬるま湯やアルコール拭きなどマイルドな方法で対処するのがおすすめです。またトイレットペーパーの使いすぎに注意が必要です(量が多いと汚れを浄化する微生物がうまく働きません。)• お風呂: 市販の入浴剤は適量を守れば問題ありませんが、硫黄成分を含む入浴剤の使用は避けましょう (硫黄は浄化槽内の微生物に悪影響を与えます)。浴室のカビ取り剤などもできるだけ中性のものを適量使用し、強酸性・強アルカリ性の洗剤を大量に流さないようにします。• 浄化槽設備: 浄化槽に空気を送るブロワー(エアポンプ)の電源は絶対に切らないでください。停電以外でブロワーを止めてしまうと酸素供給が絶たれ、好気性の微生物が死滅して処理機能が低下します。浄化槽の蓋や周辺に物を置かないことも重要です。点検口(マンホール)やブロワーの上に物置などを設置すると日常の点検・清掃作業の妨げになります。さらに、台所用殺虫剤や大量の消毒剤を流さないでください。それらの殺虫成分や強い薬品は浄化槽の微生物の働きを妨げるため、浄化槽の機能低下を招きます。記事の監修者小坂文直。浄化槽設備士、浄化槽管理士。